バイナです。
4年前の桜の時期、一人旅で京都へ行ったときのこと。
せっかくだから贅沢しようと、「半兵衛麩」で麩と湯葉のランチをいただいていたら、たまたま隣の席に座った上品そうなマダムに声をかけられました。
彼女も同じく、東京からの一人旅。
「お友達になりましょう。」とマダムから言われ、連絡先を交換。
その年の秋には「紅葉」、翌年の春には「桜」をたのしむために、京都で待ち合わせて旅行するという奇妙な仲になりました。
それからしばらくは連絡が途切れ、久しぶりにマダムから連絡があったのが昨年末。
今度は「岡山へ桜を見に行こう」というお誘い。
普段はなんでも自分で段取りしますが、マダムとの旅行は目的地も宿泊先もすべてマダムまかせ。
今回、事前に分かっていたことは「桜を見る」「岡山県内」だけという完全ミステリーツアー。
なので、待ち合わせの場所にマダムともう一人、見ず知らずのおじさんが居た時には、正直ビビりました。
ヤマシタと名乗るそのおじさんが今回の旅の案内人。
彼もまた、マダムと旅先のシチリアで知り合ってお友達になったんだそう。
話してみると、温和な紳士で一安心。
ヤマさんの運転するクルマで岡山駅を出発し、走ること約2時間。
到着と同時に目的地が発覚。
そこは、日本の桜の名所百選でもある津山城跡「鶴山公園」。
あいにく曇り空ではありましたが、5,000本もの桜の木々が私たちを迎えてくれました。
マダムとヤマさんと私、並んでいると家族のようですが、まったくの他人。
こういうのが、なかなか面白い道行き。
桜を堪能した後、次にヤマさんが案内してくれたのは「Glass Studio TooS」という吹きガラス工房。
週に一度はここへ通うほど吹きガラスづくりに魅了されているヤマさんは、私たちにも一度吹きガラスを体験させたかったらしい。
せっかくなので小さめのグラスづくりに挑戦。
所要時間は約20分。
事前予約すれば、一般の方でも吹きガラス体験ができるそうです。
「Glass Studio TooS」からクルマで5分足らずの場所にあるのが、その日の宿・湯郷温泉「季譜の里」。
もちろん、そこに泊まることも到着して初めて知ったこと。
湯郷温泉に来るのは、約二十年ぶり。
当時はまだ若かったせいか、ひなびた温泉地の良さが理解できず、正直あまり良い印象が残っていなかったので、こういう機会でもないと選択肢にすら入らないかも。
だけど、今回泊まった「季譜の里」は設えが良くて清潔感があり、最近の旅行者ニーズを上手に取り入れた満足度の高い宿でした。
食事用の個室でいただいたお料理では、季節のもの、地のものが美味しくいただけました。
今が旬の「鰆」と下津井の「タコ」はしゃぶしゃぶで。
締めのデザートは、この地域の特産品「黒豆」を使った自家製アイスクリーム。
そして翌日、マダムは岡山空港から飛行機で、私は岡山駅から新幹線で、それぞれ家路に着いたのでした。
すんなり終わってみると、ミステリーだったのは最初だけ。
ヤマさんなんて、最後までずっといい人。
なんだか思わせぶりなタイトルでしたね、ごめんなさいっ。
こうして久しぶりに来た岡山は、広島からだと一泊二日の小旅行にちょうどいい距離。
他にも楽しめる場所がたくさんありそうなので、また違う季節に訪れてみたいと思います。
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湯郷温泉「季譜の里」
岡山県美作市湯郷180
Tel/0868-72-1523