午前1時30分、「新月」の仕込みがはじまりました。
私たちが手摘みしたばかりの葡萄たちが、つぎつぎと機械に投入されていきます。
機械を通り抜け、見事なまでにきっぱりと枝から離された葡萄の粒は、次の工程を待つ間、軽やかに踊ります。
太いホースを伝って葡萄の粒を呑み込んでいく、巨大オルゴールのような筒状の機械がこの日の最終ステージ。
ゆっくりと筒が回転すると、葡萄が搾られ、ジュースが流れ出してきます。
このトロリとした搾りたて葡萄ジュースを、その場でさっそくいただきました。
「!!!!!」
葡萄なのに、林檎と間違えてしまいそうなほどの甘み。
葡萄特有の酸味をほとんど感じません。
子どもの頃に夢見た「お菓子の家」のほとりを流れる川って、きっとこんな味のはず。
大人じゃなかったら、「飛び込みたいっ」って言っちゃいそう。
2トンあった葡萄は、あっという間の作業ですべて葡萄ジュースに早変わり、あとはじっくり、ゆっくりと。
いずれ、あの「新月」へと成長を遂げるんですね。
ここまでの工程を見届けて、私たちは霧の三次を後にしたのでした。